■建築家として心がけていること
設計に際して心がけていることは、先ずは基本的なことですが、使い始めた時点から将来へサスティナブル(持続可能)な生活を営むためのの空間を創ることです。
物理的に耐久性のあること、将来の生活形態も含めて機能的な要請に追従できるものであること、環境に対してクリーンかつ省エネルギーであることなどです。
その上で、「自然を取り込む」ことに心配りをしています。
「自然を取り込む」といっても風雨,寒暖などの厳しい自然と直接対峙することではなく、自然の心地の良い部分のみを生活の中に取り入れることです。厳しい自然に対して生活空間を守るのは堅固な基礎や外壁、風雨をしのぐ屋根です。一方、自然の心地の良い部分の取り入れには開口部のデザインが重要となってきます。個々の設計者の個性によって結果はおのずから異なってきますが、私自身は、春秋中間期の心地良い風の入る窓や、季節や天候を感じる外光を取り入れる開口部(窓やトップライト)のデザインにこだわって空間創りを行っています。
特に光に関しては外光の様々な取り入れ方や人工的な光である「あかり」の可能性を追求したいと考えています。
また、日常の生活で恒常的に五感に触れる詳細部分にも心配りをしています。
階段や手すりなどの建築を構成する必要不可欠な部位は、必ず詳細や納まりに気を配ってデザインします。一方、モールなどの機能的に必ずしも必要のない造形は出来る限り取り入れません。
必要なところに徹底して必要な造形をし、余計な造形はしないと云うことです。ディテールの密度の高い、シンプルで美しいそれでいて品性のあるデザインをめざしています。
人間にとって尊厳や品格が大切であるのと同様に、建築も品格有るデザインとなるよう心がけています。
豊福 藝也 (建築家)